お父さん、単身生活を満喫でタグ「E・M・フォスター」が付けられているもの
E.M.フォスターの「モーリス」を読み終えての感想。率直に言って、いい読後感ではありません。
ソドマイトを扱った小説はやはり「気色悪い」も のです。ただ、この本の謳い文句「内容がショッキングなために、作者自身の意向で生前は未発表にとどめられた」から期待して読むとはぐらかされます。作者 自身は後書きで「好色な場面、未成年者を誘惑する場面はないのであるから・・・」と語っているのですからね。単に、当時の法律からは許されないハッピーエ ンドになっている、つまり警察に追いかけられない設定はウソになるから発表されなかっただけなんです。
この手の売らんかなの宣伝文句は別として、内容は気色悪い部分はあるものの、この小説の知的な会話は、面白いものです。例えば、主人公が牧師との会話で・・・
「あ なたは、将来において教会が罪を着せられないようにというのでやっきになっておられるわけだ。彼が罪を着せられるのをおそれておられるのではない。なるほ ど、それがあなたの信仰というものですか。ぼくのはそうではない。キリストもそんなことは言われなかったと思いますね。」
とモーリスが珍しく明晰なことを言ったときの牧師の返答
「信仰の無いものほど信仰がいかにあるべきか、非常に明確な考えを持っているものです。私にはその半分でも確信があればと思いますがね」
ソドマイトを扱った小説はやはり「気色悪い」も のです。ただ、この本の謳い文句「内容がショッキングなために、作者自身の意向で生前は未発表にとどめられた」から期待して読むとはぐらかされます。作者 自身は後書きで「好色な場面、未成年者を誘惑する場面はないのであるから・・・」と語っているのですからね。単に、当時の法律からは許されないハッピーエ ンドになっている、つまり警察に追いかけられない設定はウソになるから発表されなかっただけなんです。
この手の売らんかなの宣伝文句は別として、内容は気色悪い部分はあるものの、この小説の知的な会話は、面白いものです。例えば、主人公が牧師との会話で・・・
「あ なたは、将来において教会が罪を着せられないようにというのでやっきになっておられるわけだ。彼が罪を着せられるのをおそれておられるのではない。なるほ ど、それがあなたの信仰というものですか。ぼくのはそうではない。キリストもそんなことは言われなかったと思いますね。」
とモーリスが珍しく明晰なことを言ったときの牧師の返答
「信仰の無いものほど信仰がいかにあるべきか、非常に明確な考えを持っているものです。私にはその半分でも確信があればと思いますがね」
モーリス読後感の続きを読む
「ドリアン・グレイの肖像」に関連して、フォスターの「モーリス」を読み始めて、あと少しで読了しますが・・・。
結論から言うと、「ド リアン・・・」を理解するために「モーリス」を読む必要はあまりなかったようです。フォスターが自らの性癖を治せないかと医者に相談するときに「オス カー・ワイルドと同じなんです」と訴える場面があったというだけなんです。特にお互いに影響云々ということまでは考えなくてもよく、「ドリアン・グレイ」 の肖像は19世紀らしいバロック小説や科学ものの延長上にあるものと考えてよさそうです。
結論から言うと、「ド リアン・・・」を理解するために「モーリス」を読む必要はあまりなかったようです。フォスターが自らの性癖を治せないかと医者に相談するときに「オス カー・ワイルドと同じなんです」と訴える場面があったというだけなんです。特にお互いに影響云々ということまでは考えなくてもよく、「ドリアン・グレイ」 の肖像は19世紀らしいバロック小説や科学ものの延長上にあるものと考えてよさそうです。
モーリスの続きを読む
2005年の夏に武生図書館のアガサ・クリスティーを読んだのが、私が小説に回帰したはじまりなんですが、今回の「モーリス」E・M・フォスターは傾向の違う作家です。映画の原作だということで、期待してはいませんでしたが、ちょっと見直しています。
思い返せば、これまでに読んだのはクリスティーからオースティン、ディケンズ、サッカレーなど、いわばお茶の間で楽しめる作家です。ウルフを読み始めたときからちょっと違うところに踏み入ってしまったなと感じています。
思い返せば、これまでに読んだのはクリスティーからオースティン、ディケンズ、サッカレーなど、いわばお茶の間で楽しめる作家です。ウルフを読み始めたときからちょっと違うところに踏み入ってしまったなと感じています。
E・M・フォスターの続きを読む
「ドリアン・グレイの肖像」を読み始めたところ、オスカー・ワイルドがらみで、あいかなさんからフォスターの「モーリス」を教えられました。
そこで、早速アマゾンで買ったのですが、古本なんで、たった1円でした、手数料送料込みで400円足らずですがちょっと面白い本です。
ワイルド、フォスターというとソドマイトを語ることになるのかも知れませんが、読み始めたところでは、小学生時代に読んだヘルマン・ヘッセ「車輪の下」を思い出しました。
「モーリス」はまだ本筋まで読んでいないのですが、いつもの癖で枝葉末節から興味が沸いて出ます。オスカー・ワイルドはオックスフォードの出身、フォスターは、ご存知(ってか私が何度も書いているってだけですが)あのJ・M・ケインズなどが参加するブルームズベリーグループの一員ですから、当然ケンブリッジの出身です。だから、「ドリアン・グレイ」に出てくるヘンリー卿と画家はオックスフォードの出身で、モーリスはケンブリッジの出身です。
「ドリアン・グレイの肖像」ではオックスフォードについては、全く語られませんでしたが、「モーリス」はケンブリッジのことについて、かなり詳しく描写されています。予備的な学校からパブリックスクール、そしてケンブリッジに進んだモーリスですが、どうもそういう学生ばかりではなかったということも書かれています。カレッジの寮に入ったケンブリッジに入学してから一年も経ってからのことで、そんなことがわかるのも面白い。
モーリスがケンブリッジで最初に影響をうけたのはトリニティーというカレッジの学生です。モーリスのカレッジの名前については触れられていないのに、トリニティーはかなり優秀なカレッジであることで有名なのでしょう。あの「虚栄の市」のサッカレーもインド出身(アングロ・インディア)ですが、フォスターよりかなり先輩のケンブリッジ大学トリニティーの出身です。
さて、まだこれからが楽しみだ(^_^)
そこで、早速アマゾンで買ったのですが、古本なんで、たった1円でした、手数料送料込みで400円足らずですがちょっと面白い本です。
ワイルド、フォスターというとソドマイトを語ることになるのかも知れませんが、読み始めたところでは、小学生時代に読んだヘルマン・ヘッセ「車輪の下」を思い出しました。
「モーリス」はまだ本筋まで読んでいないのですが、いつもの癖で枝葉末節から興味が沸いて出ます。オスカー・ワイルドはオックスフォードの出身、フォスターは、ご存知(ってか私が何度も書いているってだけですが)あのJ・M・ケインズなどが参加するブルームズベリーグループの一員ですから、当然ケンブリッジの出身です。だから、「ドリアン・グレイ」に出てくるヘンリー卿と画家はオックスフォードの出身で、モーリスはケンブリッジの出身です。
「ドリアン・グレイの肖像」ではオックスフォードについては、全く語られませんでしたが、「モーリス」はケンブリッジのことについて、かなり詳しく描写されています。予備的な学校からパブリックスクール、そしてケンブリッジに進んだモーリスですが、どうもそういう学生ばかりではなかったということも書かれています。カレッジの寮に入ったケンブリッジに入学してから一年も経ってからのことで、そんなことがわかるのも面白い。
モーリスがケンブリッジで最初に影響をうけたのはトリニティーというカレッジの学生です。モーリスのカレッジの名前については触れられていないのに、トリニティーはかなり優秀なカレッジであることで有名なのでしょう。あの「虚栄の市」のサッカレーもインド出身(アングロ・インディア)ですが、フォスターよりかなり先輩のケンブリッジ大学トリニティーの出身です。
さて、まだこれからが楽しみだ(^_^)
「ドリアン・グレイの肖像」を中間まで読んだところで、当初の感想をすこし書き直しました。まだ全部は読んでないんです。
以前だったら一晩で読 んだでしょうが、たかが文庫本一冊でも、まだ読了しません。どうして、こう読むのが遅いのかと考えたところ、この本のなかに答えがありました。ドリアンが ヘンリー卿から送ってもらった本をよんでいるところ、「その本は筋書きの無い小説・・・・・。・・・その微妙で単調な旋律でドリアンの心に白日夢が生まれ た。・・・・。」この本だけではなく、最近になって私が読んでいる小説は、筋書きの面白さではなく、言葉ひとつひとつで色々な思いが浮かぶことに面白さが あるものだから、読んでいる時間より夢想する時間が長いからなんですね。
さて、作者オスカー・ワイルドについて、彼がアイルランド生まれであること自体には、あまり意味はなさそうです、それよりやはりヴァージニア・ウルフとの共通点に興味があります。
ウルフの「オーランドー」。この主人公の名前が図らずも今回の「ドリアン・グレイの肖像」に出てきました。もともと、「オーランドー」という主人公の名前は何によるものなのか、色々と取りざたされていますが・・・。
ドリアン・グレイが画家から肖像画を贈られたあと、ある場末の劇場女優の美少女シビル・ヴェインに恋をします。そして悲劇が始まるのです。そしてシビルが 扮するロザリンドが出てくる「お気に召すまま」の第一幕第一場の冒頭、これは「オーランドー」の科白から始まるのです。恐らく、ウルフの読者もワイルドの 読者もシェイクスピア、お気に召すまま、オーランドーは常識以前の素養として知っているのが前提でしょう、これは無関係ではないと考えます。
一方、ヘンリー卿なる人物が、ドリアンに大きな影響を与える人物として描かれています。サロンに出入りして警句を発して年寄りに顔をしかめさせて人気を得 る。こういう役割は「オーランドー」では作家が担いました。17世紀の大火で、サー・クリストファー・レンがロンドンの町並みを一新させた後に女性として帰ってきたオーランドー は、自分でサロンを開きアレキサンダー・ポープの警句を楽しみました。
とはいえ小説の中で発せられる警句はワイルドが一枚も二枚も上手だと感じました。ヘンリー卿 が発する警句を抜き出して行っただけで一冊の本が出来上がってしまうんじゃないかという勢いですが、ウルフが他の小説と全く違う作風の「オーランドー」を書 いたのは、ウルフのサロン、ブルームズベリー・グループのE.M.フォースター、そしてそこで語られたであろうワイルドの影響ではないかと思いました。この辺りは、あいかなさんから教わったフォスターの 「モーリス」を読んでからにしようと思っています。
さて、これから後の半分も「オーランドー」との関連を考えながら読むことになりそうです。
以前だったら一晩で読 んだでしょうが、たかが文庫本一冊でも、まだ読了しません。どうして、こう読むのが遅いのかと考えたところ、この本のなかに答えがありました。ドリアンが ヘンリー卿から送ってもらった本をよんでいるところ、「その本は筋書きの無い小説・・・・・。・・・その微妙で単調な旋律でドリアンの心に白日夢が生まれ た。・・・・。」この本だけではなく、最近になって私が読んでいる小説は、筋書きの面白さではなく、言葉ひとつひとつで色々な思いが浮かぶことに面白さが あるものだから、読んでいる時間より夢想する時間が長いからなんですね。
さて、作者オスカー・ワイルドについて、彼がアイルランド生まれであること自体には、あまり意味はなさそうです、それよりやはりヴァージニア・ウルフとの共通点に興味があります。
ウルフの「オーランドー」。この主人公の名前が図らずも今回の「ドリアン・グレイの肖像」に出てきました。もともと、「オーランドー」という主人公の名前は何によるものなのか、色々と取りざたされていますが・・・。
ドリアン・グレイが画家から肖像画を贈られたあと、ある場末の劇場女優の美少女シビル・ヴェインに恋をします。そして悲劇が始まるのです。そしてシビルが 扮するロザリンドが出てくる「お気に召すまま」の第一幕第一場の冒頭、これは「オーランドー」の科白から始まるのです。恐らく、ウルフの読者もワイルドの 読者もシェイクスピア、お気に召すまま、オーランドーは常識以前の素養として知っているのが前提でしょう、これは無関係ではないと考えます。
一方、ヘンリー卿なる人物が、ドリアンに大きな影響を与える人物として描かれています。サロンに出入りして警句を発して年寄りに顔をしかめさせて人気を得 る。こういう役割は「オーランドー」では作家が担いました。17世紀の大火で、サー・クリストファー・レンがロンドンの町並みを一新させた後に女性として帰ってきたオーランドー は、自分でサロンを開きアレキサンダー・ポープの警句を楽しみました。
とはいえ小説の中で発せられる警句はワイルドが一枚も二枚も上手だと感じました。ヘンリー卿 が発する警句を抜き出して行っただけで一冊の本が出来上がってしまうんじゃないかという勢いですが、ウルフが他の小説と全く違う作風の「オーランドー」を書 いたのは、ウルフのサロン、ブルームズベリー・グループのE.M.フォースター、そしてそこで語られたであろうワイルドの影響ではないかと思いました。この辺りは、あいかなさんから教わったフォスターの 「モーリス」を読んでからにしようと思っています。
さて、これから後の半分も「オーランドー」との関連を考えながら読むことになりそうです。

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